Vol.33 注目してほしいローン金利の動向。

消費税問題だけではない、景気上昇による金利の動向にも目を向ける必要があります。
固定金利型ローンの金利が上昇傾向に、金利上昇は購入後の負担に影響!

2013年8月23日更新

■長期金利に左右される固定金利型住宅ローン。

アベノミクスで景気回復の兆しが見え始め、それに伴って長期金利が少しずつ上昇しています。7月初旬からは0.8%台で推移しています。本年3月までは0.3%台でしたから住宅支援機構の「フラット35」も今年4月に返済期間21〜35年の最低金利は1.80%と過去最低を記録していましたが、5月には1.81%に上昇し、6月には2.03%、7月も2.05%に3ヶ月連続で上昇しています。
これに比較して変動金利型住宅ローンは依然として低水準で推移しています。メガバンクの店頭表示金利は「短期プライムレート(優良企業向け短期貸出金利)+1%の水準で設定されていますから、現在のメガバンクの店頭表示金利は2.475%で金利引き下げ後の最低金利は0.875%でした。今年の6月からは固定期間選択型の3年ものでも低金利の0.6%で利用できますが、中長期的に金利上昇が見込まれる現在の状況では、変動金利型は借入後に利用者のリスクが大きくなることが予想されています。固定期間選択型は固定期間終了後の金利次第では、金利が大幅に上昇すると5年後には返済額が最大25%に増えている可能性もあります。

■住宅ローンは融資実行日の金利が適用されます。

住宅ローンの金利は原則として融資実行日の金利が適用されます。注文住宅の場合は、建築請負契約を施工店と締結してから着工し、住宅が完成して引き渡しを受け融資金が下りるときの金利が適用されますから、その間に少なくとも半年程度のタイムラグが生まれると言うことです。景気回復局面にあり金利の上昇が予測されている現在ではリスクの大きい変動金利型を嫌って、最近は利用する方が減少傾向にあると言われています。多少金利が高く多少金利が高く感じても固定期間の長いローンを利用する方が安心だと思う人が増えているようです。

■住宅ローン金利の上昇と購入後の負担増。

住宅金融支援機構の「フラット35」を利用して3000万円の借り入れで住宅を建てるケースでシミュレーションしてみると本年4月までの金利1.08%の場合では、35年元利均等ボーナス返済無しの場合の毎月返済額は9万6327円でした。それが7月の金利、2.05%になると10万150円になります。 月額にして3823円の差額で年間では4万6000円の差額、 35年間の総返済額では約161万円の差額になります。このように住宅ローンは返済期間が長くなる分、金利の動向を注意深く見つめる必要があります。アベノミクスによる経済回復が持続するようになれば金利は確実に上昇して行くことでしょう。
政府・日銀は脱デフレと景気回復のために2年後をめどに物価上昇率2%の目標を掲げていますが、これが実現すると言うことは、金利もまた物価上昇率と共に応分の2%程度の上昇は避けられないものと考えられています。現在2%で利用できる住宅ローンが3%になると返済額は10万円弱から11万円半ばに増え、4%になると13万円台に増加します。35年間の総返済額では2%から3%になると675万円の増加となり、4%では1405万円の負担増になります。
このように住宅金利の上昇は数%の上昇でも直ぐに1千万以上の上昇になってしまうのです。更に来年4月以降は消費税の引き上げも控えています。住宅建築をお考えの皆様は、物価上昇と見合わせて金利の上昇についてもしっかりと見極めておく必要があります。消費税はともかくとしても金利が本格的に上昇する前に住宅建築を考えた方がお得だとお勧め致したいのですがいかがでしょう。

元利均等・借入額3000万円の金利別返済額の例
金利 毎月返済額 総返済額 2%との差額
1% 84,685円 約3557万円
−617万円
 
2% 99,378円
約4174万円
3% 115,455円
約4849万円
+675万円
4% 132,832円
約2279万円
+1405万円
5% 151,406円 約6359万円 +2185万円

※設定条件:35年、元利均等払い・ボーナス返済なし、2013年7月現在の「フラット35」の金利が2.05%ですから2%を基準にしました。

■住宅ローンは退職までに完済する計画が基本。

「フラット35」は35年間の借り入れが可能ですが、退職までに全額返済出来るような借り入れ、例えば60歳までに全額返済が可能であれば理想的です。しかしこれからは、退職年月の延長も考えられますから、あまり堅苦しく考える必要もないかも知れません。ただ言えることは、景気の回復が見込まれるときには、早めの決断が必要だと言うことです。決断が遅れるとそれだけ支払金額が大きくなっていきます。但し、その逆もあり得ますから未来的な予測を立てて計画する必要があります。住宅が必要な経費を稼ぐ高性能住宅「プラス・エネルギー・ハウス」であれば、ローン返済の力になってくれるものと思います。